コロナ後はじめて生で舞台(THE CONVOY SHOW ATOM)を見た話

8カ月ぶりに見に行った舞台がめちゃめちゃ最高だったから話を聞いてほしくてわざわざはてなブログのアカウント取得してエントリを書いてみました!

生は最高 生で大好きなものを見る以上の楽しさを私は知らない コロナ怖い人、人が密集してる場所に行きたくない人もたくさんいるだろうけど、逆に気持ちに余裕がなくなってコロナより先に鬱になる可能性もあるからみんな自分が必要だと思う息抜きはしっかりしよう。

外出制限がされてない今、自分の身を守れるのは自分しかいないから!みんなしっかり自己防衛して他人にうつさないように気を付けて、自分がやりたいと思う範囲で最高の人生歩も!!!!!

 

最初にコンボイを知らない人向けにど~~してもコンボイを知ってほしくて、コンボイの説明を書いたのですが、やや文字数があるのでだるいよ!という人やソーシャルディスタンスの舞台どんな感じだったの?ということが気になる人はぜひぜひ飛ばして読んでください!

 

 

THE CONVOY SHOWとは?

「走り出したらとまらない」を合言葉にしたスーパーエンターテインメントバラエティパフォ-マンスショウ(公式紹介ママ)

ビートたけしに「死ぬまでに一度は観るべき」と言わしめたショーで、演劇を行いながらダンスや歌のショータイムも挟む、ミュージカルのような形式でパフォーマンスを行っている。

長いのでみんなコンボイとかコンボイショウとか呼んでる。

コンボイ自体はすごく歴史がある団体で、1986年から活動していたらしい。私が生まれる前からだ。

主催の今村ねずみさんが自ら出演しながら戯曲の制作も演出も手掛けていて、もともとはねずみさんを中心として同世代のメンバー数名が集まって公演をしていた。

数年前から若手俳優をオーディションで起用するようになって、最年長のねずみさん62歳から、一番若くて17歳まで、10代・20代・30代・50代・60代(確か40代だけいない)が集まる超世代差グループとなった。

 

今村ねずみさんは、過去に野田秀樹の劇団夢の遊眠社にいたり、ビートたけしの映画「菊次郎の夏」に出演したり、いろんな経歴がある方で、実力があり、人柄も(外から見てるだけだけど)すごく優しそうに見えて、大変スタイルが良く、顔も良く、そのほか私が見えていないところでもきっと色々な含蓄があるんだろうと思わせるような懐の深い方だ。

最近では2.5次元舞台のサイコパスに出演されていた。

 

私なんかがねずみさんを語っていいのかよくわからないけど、きっとこれを読んでくれている人の中にはねずみさんのことを1ミリも知らない人もいると思うので、これをきっかけにねずみさんのことを調べてみてほしい。面食いの人は画像検索から始めてみてほしいし、作品を見てみたい人はyoutubeで「THE CONVOY SHOW」と調べてみればいくつかダンスシーンの映像が出てくると思う。いろんな魅力を持っている方なので、自分の好きなところから探してもらえば、必ずその分野で目を引く要素があると思う。

 

 

ATOMのここがこんなに面白い!

コンボイの演目はたくさんあるけど、このコロナ明け一発目のタイミングで上演したのは、何度目かの再演になるATOMだった。

ATOMはもともと1996年が初演の作品で、あまりの名作っぷりに今まで何度も再演を繰り返してきた。2006年には韓国で上演も行ったらしい。ビートたけしはこのATOMを観劇して「死ぬまでに一度は~」という前述の賛辞を贈った。それくらいの名作とされてる舞台だ。

 

私は2020年版の今回が生では初見だ。一応生で見る前に2006年版を映像で予習していたものの、やっぱり演劇を映像で見るのはちょっと物足りなくて、あんまり細かいところに感動できず、内容をさらうだけにとどまっていた。

ふーーん、こんな話かあ…と思って、期待値も正直そこまで高くないまま生の舞台を見たら、やっぱ生ってすごくて、役者の一挙手一投足にめちゃくちゃ感動して、心がボコボコに殴られて死ぬかと思った。

 

2006年、とあるガラクタ置き場に、哲学者の名を名乗る6人のおじさんが集まって、「真夜中の詩人の会」なる、詩集を片手に語り合う会を開催していた。

そして時が経ち2020年、同じガラクタ置き場に、同じ哲学者の名を名乗る7人の青年が集まった。7人は「WHY?の会」という、これまた哲学的な問いを深めるための集まりを開いていた。2006年のことを知らない7人は、ウーバーイーツを装って突然乱入してきた2006年のメンバーの一人であるねずみさんと出会い、詩を読み始める。

 

演劇全般がそうなのかもしれないけど、コンボイの筋書きもあまりリアリティに忠実ではなくて、不条理と思えるようなストーリー進行をすることが多い。

こっちはその作品特有の不条理さを理解しようとして神経をとがらせて舞台を見ているのに、その合間にシンプルにめちゃくちゃいいダンスとか歌とかを挟んでくるから、こっちはそのとがらせた神経でシンプルに最高だとわかるものを享受してしまって良さが100倍くらいに感じられてしまうのだ。

もともと良いものなのに、それが更に100倍になってしまうのはやばい。不条理と真理の繰り返し効果で精神が受け止められる良さのキャパをオーバーして、結果的にボコボコに殴られたような心理状態になる。これはすごい。本当にすごい。

 

それに、集まっている人数が素数人なのが最高なのだ。7は7以外の数で割り切れない素数だから、7人で何か1つのことをしようと思った時、派閥に分かれることなく各々が各々のベクトルで各々の個性を生かし始める数だと思う。個として強くなれる上に、一つ一つの強い個が集まって、もっと大きな力を生み出せる人数が7人だと思う。超特急も最初は7人だった。(オタクとしての入り口、原点がスターダストのアイドルグループ超特急だからなんでもかんでも超特急に例えてしまう)

実際、稽古場の雰囲気がどうだったかはわからないけど、私は7という数字に特別な気持ちを持っているから、WHY?の会が7人だったことにも勝手に因縁を感じてしまった。

 

作中に何度も出てくる「アトム」という言葉は原子=万物を構成する最小単位という意味の言葉で、演目中では人間一人を一つの原子になぞらえて、一人一人が集まると、思いもよらないことが生まれるという意味で使っている。

コンボイの演劇は、現実のTHE CONVOYという団体に起こっていることをかなりそのまま表現していて、ここで言っているアトムも、言わずもがな、一人一人のメンバーが集まってコンボイという集団を形成していることを示している。(…と思う そのはず…)

 

いつもコンボイの演目は、昔からのメンバー(おじさま組)と最近入ったメンバーである若手組が入り混じって演じているのだが、今回は主催のねずみさん以外は全員若手組という異色のキャスティングだった。

 

作中でねずみさんが2006年のメンバーに向かって、ここにアトムがいたぞ!と叫ぶシーンがある。2006年の真夜中の詩人の会のメンバーが知らない間に、同じ場所に同じ思いを持って集まった若者がいたことに対する喜びの声を上げるシーンで、私はこのシーンが一番印象に残っている。

このシーンを実際のTHE CONVOYという団体に当てはめるとするなら、オーディションで若手を見つけた時の、オリジナルメンバーの気持ちになるのだろうか。

60歳を過ぎて、10代・20代・30代の志を同じくする人たちを見つけるのはどんな気持ちなんだろう。
歩いていれば道ができるし、知らない間に自分が歩いてきた道を後ろから辿ってきてる人がいるものなのかもしれない。継続は力なりとよく言うけど、続けることの価値はこんなところにもあるんだなと感じた。

 

2年前、初めてコンボイを見たときは、端から舞台だけみた印象だとむしろベテラン組の方が若手から多くのものを受け取っているように見えた。

けど、今回のパンフレットに書かれた赤裸々な苦労譚を見て、もし私の受けた印象の通り、ねずみさんたちベテラン組が多くのものを受け取ることができていたとしたら、それは後進育成の苦労を苦労と思わない懐の深さがあったからなのかもしれないと思った。

結局ねずみさんはすごい、という結論に落ち着いてしまう。

人生何があるのかよくわからないけど、一つの例として、こんなに豊かなおじさんになれる人生が存在するなら、まだまだ人間捨てたもんじゃないなと思う。それに、ねずみさんだけじゃなくて、舞台に出てる人の年齢は幅があるけど、どの役者さんを見ても、こんな人生があるんだな、すごいな、という気持ちになる。

年取るのも悪くないな、むしろ楽しいことだな、とコンボイに出演されている全員を見て思います。

 

コンボイショウのコロナ対策について

最後に、今回のコロナによる影響・コロナ対策について書きたい。

上演しないべき理由はたくさんあるけど、何を置いても上演するべき理由は?と聞かれると弱ってしまうのがエンタメだと思う。
全ての人にとって必ず必要なインフラではないから、3月から多くの演劇・ライブ・イベントが中止になった。いまだに毎日のコロナ感染者数は増え続けていて、自粛すべきという意見も消えたわけじゃない。そんな中、強い意志を持って防疫対策を行なって上演にこぎつけたことに敬意を払いたいです。

 

私が普段やっている仕事も世の中の多くの職業と同じように、コロナによってやり方を大きく変えなければならなかった種類の仕事だ。

自分が普段仕事をする時もいろいろなコロナ対策を考えるけど、コンボイの防疫対策は、自分が普段仕事でやっているものよりも数段厳重なものでちょっと感動してしまったので、感動ポイントを以下に列挙したい。

 

最前列〜2列目くらいまでは観客にフェイスガードをつけさせたりしていたし、演目の途中でストーリーの一部として換気が必要だということにして、演目を続けたままスタッフさんが出てきた換気・消毒を始めたのはめちゃくちゃ笑ってしまった。

入り口での靴裏の消毒や整列退場、上演中の消毒・換気など、ガイドライン以上にきちんと対策している様子も伺えた。

行政による来場者の追跡システムの実施義務がない東京公演でも、独自の来場者追跡システムを用意するなど、本当に1から10まできちんとやっている印象を受けた。

 

客席数の半分の定員で黒字にできるのか、今後続けていけるのか、私は外から見てるだけだから全然わからないけど、興味本位でわかる範囲の収支表を作ってみたらやばすぎてびっくりした。どうやって黒字化してるんだろう。自分がこの案件の制作をやってたら赤字のプレッシャーで夜寝れなくなってると思う。どうかチケット・グッズ収入以外の収入源があってほしい。

 

この最高の演劇がずっと続くように、微力ながら自分もグッズたくさん買うぞ!
みなさんも今回の公演グッズのほか、過去のATOMの公演映像やパンフレットなど、ATOMにまつわるものがオンラインショップでいろいろ売られているので、気になったらぜひ覗いてみてください!
以上、購買促進エントリでした!